ヴェトナム紀行(2)Hanoi in Aug 2002
2005年 06月 29日
ハノイでの日々は楽しかった。毎朝7時ころ起きて顔を洗い、ホアンキエム湖まで散歩する。いつも座っているお気に入りのベンチに腰掛け、その辺で売っている1500ドンのコーヒーを買って時間をかけて啜る。コーヒーを飲みながら今日の予定を考えるが、これといって思いつかない。もうすでにホーチミン氏の遺体が冷凍保存されている「ホーチミン廟」や、沢田教一氏の写真が貼られていてベトナム戦争の様子を伝える「戦争証跡博物館」、水上人形劇にも足を運んだし、ホンダに乗って(ベトナムではバイクのことを「ホンダ」と呼ぶ)近郊にあるハロン湾(上の写真)にまで訪れてしまっていた。さて、何をしようかね。
今日でハノイに来て1週間になる。そしてハノイ到着後の二日間で前述の観光名所は全て訪れていた。観光を終えてこの5日間何をしていたかを回想してみると、「毎日友達に手紙を書いたり、湖のほとりで本を読んだり、ビールを飲んでは二日酔いになっていた」ということになる。この5日間を無駄な時間とは決して言わないが、これから先訪れる街で気に入ったところがあったらのんびりしたい。あと1ヶ月強しか期間はないしこれ以上ハノイでだらだらしてたらいかん、とアタマは急速に回転し、「移動しなくては。そうだ、バスチケットを買いに行こう。」とベンチから離れた。
思いついたら即行動。早速宿まで戻り、仲良くなったスタッフに相談すると、「シンカフェで買え」と勧めてくれる。このお兄ちゃんは悪い人ではない、とこの一週間で判断していたので、その足でプラプラ探す。そして数分後、無事シンカフェを発見。しかしそこで何気なく回りを見渡してみると、問題が発生した。シンカフェが二つある。
ベトナムでは人気店の名前を堂々と他の店が使う、という話をどこかで聞いたことがあるが、まさかこんな大事なところでそのシーンに出くわすとは。仕方ないので、どちらかと言えば繁盛していてイスラエリーっぽい客が2,3人いるシンカフェに入る。話しかけてみると、予想通り彼らはイスラエリーだ。僕の中ではイスラエリーに対して、「旅慣れていて倹約好き(ケチともいう)」というイメージがあるので、こちらで買うことに決める。早速ヒゲを生やしたえらそうな男に、
「サイゴンまでの通しのバスチケットありますか?」と尋ねると、
「26ドル」とヒゲは無愛想に答える。
いささか早計に過ぎる気もするが、こういう時の直感を信じることにしているのでお金を払う。そして渡してくれたチケットを見てみると、途端に不安が再発した。チープ過ぎる。チケットはくしゃくしゃで、インドのお金よりもぼろい。「おい、本当にこれでいいの?サイゴンまでだよ、To Saigon,Ho Chi minh city!」と改めて確認するが、「No problem、フエで新しいしっかりしたチケットに代えてくれる。」とのこと。明らかに怪しいが、一応チケットには「Hanoi-Saigon」と記されている。何事にも楽観的な僕は、まぁ大丈夫だろう、とたかをくくることにした。
翌日もだらだらと過ごし、フエ行きの21時のバスに乗るためにリュックを背負ってシンカフェへ向かう。この一週間通っていたフォー屋やタバコ屋などに挨拶をしながら歩きシンカフェに到着する。バスはもう店の前に止まっており、チケットを見せて乗り込む。そして東南アジアとしては珍しく21時ちょうどにバスは出発。そこで車内を見回してみると、忘れていた不安が再度よぎる。客が少な過ぎるのだ。25くらいある席に乗客は10人ほど。しかし今さらどうこうしても始まらないのでねむりにつく。
翌日フエに10時頃到着。降ろされた場所はなんとシンカフェ・フエ支店の前!そこで新しい立派なチケットを入手して、無事Saigonまで旅行を続けることが出来たのでした。
by aciktim
| 2005-06-29 21:56
| -越南 Vietnam